☁︎PavelMilyakov及びButtechno☁︎

 今日はいい天気だ。もっとも東京に関しては。

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Styx

Styx



 自分の場合、冴えたアイディアが産まれる瞬間、そこまでいかずとも先鋭的な思想、危険思想、言葉の節々にキレが生まれる天気が曇り空の時で、特に今日みたいな日のことである。霧雨が続く夜が明けた朝の重苦しさ、シリアスな空気感。濡れたアスファルトの上空を搔き切るように飛び去る渡り鳥や、湿気を含みすぎて自身の重さでのそのそ髪を揺らす外気の渦、灰色ばかり目立つ郊外の日本式建造物に微妙に抗うように敷き詰められたまた同じく灰色の、空など......これ以上のポエムはまた別の機会に並べるとして、こうなってしまうとどうしても同じような気分の音楽が知りたくなる。

 ロシアにPavel Milyakovっていうイかれた感覚のミュージシャン/映像作家がいて、あのgosharubchinskiyのショー音源を作ってたりしてるんだけど、とりあえず上のYouTubeを見て欲しいんです。

 ロシアの特にモスクワ周辺の国土はとにかく薄暗くて、というかこれがスタンダードみたいな偏見を持っている。前モスクワへ旅行に行った時も滞在中ついぞ空が晴れたことはなかった。日本のような晴れはなかった。だから、こんな気分の映像や音源が産まれてくる。ロシア人にとってこの感覚は物心ついたときにはもう備わっているのかもしれない。政府の抑圧やテロや領土侵攻みたいなのが身近にあって、つい最近新しい文化が入ってきて、だけど建築思想国体は変わってなくて、僕から見たらすごくちぐはぐな感じがする。でもそれがロシア人のスタンダードなのかもしれない。という偏見である。

Pavel  MilyakovはButtechno名義でも曲を出していて、かっこいい。

Elektroshirka

Elektroshirka

  • Buttechno
  • テクノ
  • ¥255

Dungeon 5

Dungeon 5

  • Buttechno
  • エレクトロニック
  • ¥255

 これなんかは、タイトルが「1984」だし、いやまんまジョージオーウェルじゃん。まだ引きずってんのかよと思ったけどちゃんと調べてみるとどうやら1984年にモスクワで開催されるはずだった「幻のオリンピック」に向けた郷愁を含んだタイトルらしい。面白い。ロシアを知るのは面白いんですよね本当に。

 こういったテクノを聴きながら曇天を歩いてると苦しみから解放されて、いや最初から苦しみなんてなかったけどあたかも自分が孤独主義者で寂寥感を抱えて生きているような感覚になれて、いい。そういう被虐趣味に走らなければ、もしかしたら本当に孤独に取り殺されるからだ。